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2021年 成道会

曹洞宗では、毎年、お釈迦様に係わる3度の法要を行ないます。
それを “ 三仏忌 ( さんぶっき ) ” といい、2月の涅槃会、4月の降誕会、そして12月の成道会です。
本来は12月8日ですが、東照寺では土日を選んで行っています。
今年は、本日5日に梅花の講員さん方に集まっていただき、いつも通り詠讃歌もお唱えいたしました。

法要後の法話は、金子みすゞさんの
「 蓮と鶏 ( とり ) 」 を読みながら・・・。

 泥のなかから蓮が咲く。
 それをするのは蓮じゃない。
 卵のなかから鶏が出る。
 それをするのは鶏じゃない。
 それに私は気がついた。
 それも私のせいじゃない。
 

6行の短い詩です。

講員さん方も 「 どういうこと? 」 と首をかしげます。
咲くのは蓮だし、出たのは鶏だし、気づいたのも私と言っているのに 「 じゃない 」 と否定している・・・。

でも、お釈迦様の教えをいただいている人であれば、蓮や鶏だけ、表面だけを見ないで、全体を、まわりまでじっくり観ると、みすゞさんのように気づけるのではないでしょうか。
そう! 「 蓮は蓮だけの力で咲くことができたんじゃない。鶏は鶏だけの力で卵から還ることができたんじゃない 」 と。
蓮は、泥の中の栄養や太陽の光、空気や水などなど、周りの良きご縁を頂けたから花が咲けた。悪い縁ばかりであれば芽もでなかっただろう。
鶏も同様。

すべて、縁によって成り立っていることに気づけば、 「 それをするのは蓮だ。鶏だ。 」 と、自己主張するような、傲慢な表現はできないですよね。
世の中は、縁によって成り立っていること。これも、お釈迦様の成道におけるお悟りのひとつである “ 縁起 ” の教えによるものです。

蓮も卵も私も、すべてが縁によって生かされていると感じられるみすゞさんの心に近づきたいものです。

202112.05 成道会 1
6年間の苦行難行の後に、山を下りられるお釈迦様のお姿。
この後、菩提樹の下に12月1日から坐禅し、8日の明けの明星をご覧になり成道なされました。
19世のご住職が彫られた像をおまつりしての法要です。

202112.05 成道会 2
導師上殿中に、三宝御和讃
献茶湯中に、正法御和讃
般若心経の後、大聖釈迦牟尼如来御詠歌 ( 紫雲 )、大聖釈迦如来成道御和讃、御詠歌 ( 明星 )
全員が焼香中に、聖号をお唱えします。
計6曲の御詠歌をお唱えしました。

202112.05 成道会 3
大聖釈迦牟尼如来御詠歌 ( 紫雲 ) 奉詠中のお拝です。
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第53回 東照寺写経の会

本日の参加者は14名。
先月と同様に “ 茶話会 ” も開催しました。

今日の法話は
『 仏遺教経 』 8回目。

まず、先月の “ 憍慢 ( きょうまん ) ” と “ 諂曲 ( てんごく ) ” について復習した後に、
いよいよ、 「 八大人覚 ( はちだいにんがく ) について 」 です。
これは、仏佛遺教経の後半部分に示された、要となる教えです。

「 大人 」 とは、現代の二十歳以上が大人 ( おとな ) などという基準とは違います。
仏や菩薩のような方のことです。
仏の御子としてふさわしい心を持ち、行動できる人のことです。
その、大人が実践する八つの実践項目ということですね。

お釈迦様の教えである仏教は、苦しみから逃れ幸せに生きるための方法を教えてくださっているのです。
多くの教えの中で、お釈迦様が亡くなる直前の説法ですから、大変重要な教えなのです。
その要の八つを順にお話していきます。

その第一が “ 少欲 ( しょうよく ) ” です。

人間は 「 欲望 」 から解き放たれることが幸せの第一歩だということですね。
人間の欲望は、財欲、色欲、飲食欲、名誉欲、睡眠欲の五つの欲でよく示されます。
その中で、命を維持するのに最低限の欲は、飲食欲、睡眠欲ですが、このふたつはある一定の限度がありますが、財欲と名誉欲は限りがない。特に財産に対する欲望は歯止めがかかりにくいものです。

お釈迦様は欲がダメだと言っているのではないのです。
早く移動したいという欲が電車や車、飛行機を作り、電話やテレビなどの便利な製品が生み出されてくるのですから。
環境問題に影響しますので、その対応も十分考えていかなければなりませんが・・・。

お釈迦様は欲の多い人は、求めることも多く苦悩も多いのだと。
欲を少なくすれば、減らした分、心に安らぎが得られるのですよと教えてくださっているのです。
欲望に心が振り乱されて、手に入れても満たされずに、また次のものをと求める多欲の人に対する戒めとして第一番目に “ 少欲 ” を示されたのでしょう。

少欲とは、今あるものへの感謝の心を持つことなのではないでしょうか。
新しい車が欲しいが手が届かないと悩むより、古くても今乗っている車があることに感謝する。そう考えられれば悩みが少なくなる。
日曜日にゴロゴロ寝てばかりいる夫が邪魔だと文句を言うより、仕事をちゃんとしてくれてありがたいと思う。 ( 文字にすると、たとえがチョット・・・(汗) )


道元禅師の 「 半杓の水恩 」 という故事で
「 杓底( しゃくてい )の一残水( いちざんすい ) 流れを汲む千億人 」
というのがあります。

道元禅師が柄杓で水を飲み、底に残った少ない水をただ地面に捨て去るのではなく、水の流れに戻したという故事です。

気に留めることもなく捨てるであろうわずかな水に対しても、ありがたいものを粗末にできない。そして、その貴重な水は、この後、多くの人々に影響していくということまで思慮された道元禅師の心に、今、手にしているものへの感謝の姿を見、 “ 少欲 ” の教えをも感じます。

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Author:zenzen1213

山形県尾花沢市にある
曹洞宗寺院の住職です

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